創作メモ

目釘金具の修理3 - 表面処理 –

mekugi4

目釘金具の修理3回目。
飾り金具の修理行程をとおして、金属加工の代表的な技術を紹介しております^^

本日は、金属加工プロセスの最終作業に施すことの多い
表面処理のついてのお話です。

前回は、2つに切断されてしまった金属パーツを
ロウ付け(火を使った溶接技術)でくっつけるというお話でしたね。

事故にあった破損部は元どうりに修理したので、終了~!!
といいたいところなんですが、実は元に戻さなくてはならないことが
まだ一つ残っているんですね。

それは見た目!!
火をかけたことで、金属の表面の色が変化してしまいました。
いぶし銀といわれる渋いグレーだったものが白色に変化。
元のいぶし銀になるよう、着色という表面処理を施します。

金属の表面処理・・
なんだか、かたっくるしい響きですが、わかりやすくいうと
金属の外部を内部とは違う状態に変化させる・・・ということです。

人で例えるならば、皮膚を変化させる、お化粧して見た目を変えてしまう
感じでしょうか。化粧は化ける!!っていいますが
うまくやれば、別人に変化しちゃいますよね^^

表面処理技術は、着色以外にも研磨、荒らし、鍍金(メッキ等)などがあります。
金属の種類、用途にあわせて様々なものがありますが、効果的に使うことで
工作物をより美しく、表情豊かにすることができます。

また見た目を美しく見せる目的だけでなくて、より長く保存状態を
キープするためにも表面処理を施します。

錆び・・ をイメージされるとわかりやすいですが
金属って、とてもデリケートなんですね^^

人と同じで、ちょこっとした変化で敏感に反応をしてしまう。
常に地球上の大気の影響、変化を受けてしまうのですね。

酸化、硫化、塩化など ・・表面が簡単に侵されてしまいます。
ですから長く存在し続ける上でも、
必要に応じて表面処理を施すことが大切なのですね。

ジュエリーなどの装身具の場合は、見た目の美しさは絶対なので
美しく変化させる技法はとても多いのですが、
より長く使うためにの工夫や対策としての技法もいろいろあります。

数千年前の金工品を現代で鑑賞できるって、すごいことだと思いませんか!

これもよく考えてみれば、存在し続けるために必要となる
適切な処置が、時代時代にきっちりなされてきたということなんですね。
金属の表面に、その痕跡を見つけることができますので
調べてみるととてもおもしろいですよ。

金属は残念ですが、宝石等に比べ、色彩のバリエーションに欠けますよね。
でも、表面加工技術を知り、いろいろ取り入れることで
見え方が広がり、様々な変化を楽しむことが可能になりますね。

私がまだ体験したことのない、知らない技法って、たくさんあるんですけど、
生きてる間にいっぱい使って、楽ししんでいきたいと思っています^^

表面処理を行う上で大切なこととしては、コレに尽きます^^

ベース作りをしっかり、ぬかりなく!
化粧のりが悪い・・って、女性ならピンとくるかもしれませんが、
内容、内部状態が素晴らしいと、より強力に美しく変化できるのです。

ですから物作りの世界では、このベース作りにとても手間をかけるのですね。
最後の最後まで手を抜きません。

いかに最後の化粧で美しく化けるか・・なので美しい変化を夢見て
地道な仕事をコツコツつみ重ねます。
とにかく最後に行う表面処理は化けますので、お気をつけくださいね(笑)

ではさっそく、今回の銀金具を白色から黒色にする着色に入ります。

銀製品は手入れをしないで放っておくと黒くなる・・
という経験をされた方もいらっしゃると思いますが、
銀は空気中の亜硫酸ガスに反応して、表面に硫化銀という黒い皮膜をつくります。
酸化という人もいますが、正確には硫化してしまうのですね。(塩化もします)

ですから今回は、銀の表面を硫化銀に変化させる溶液を使って着色します。
短時間で、白色から黒色へ変化させることができます。溶液は、貴金属工具店や
ハンズなどで市販されていますので、簡単に手に入れることができますよ。

逆に、黒く変化したものを取り除く場合は、
金属磨き液(ウィノールやピカールなど)で落とすことが可能です。
こちらも市販されてますから、一本持っていると便利ですね。

作業ポイントは、化粧ですので、イメージ通りのいい調子に仕上げること。
実際に黒くして終わりではないのですね^^(②左)

使い込まれた自然のグレーにみえるよう、研磨剤を使って少しずつ丁寧に
表面を落とし、調子を整えます。ちょこっといじるだけで見え方は激変しますので、
やり過ぎには注意が必要ですね。(③)

燻された奥から、ほんのり銀の光が漏れる感じに仕上げていきます。
少しコツがいるので、必ず、練習をしてから本番に挑んでくださいね。

銀という金属が持ちあわせる白色と黒色。
銀本来の白に黒が入ると、立体的なコントラストが生まれるんですね。
上手く調子をのせることができれば、より立体的に、魅力的になります。

また、銀製品はは使い続ける中で、どんどん硫化が続きますが
たまに磨くなどして手入れしながら使っていくと、より深みをました
いい風合いのいぶし銀になってきますよ。

派手な光でないけれど、奥から貫禄のある渋さが光る・・

わびさびの文化がある日本ですので、この自然の経過により現れる
美しさを楽しむのであれば、銀という金属はぴったりですよね。

自然であれ人工であれ、
金属の表面変化は本当におもしろいものですよ。
みなさまも是非楽しんでもらいたいです。

ということで、長くなってしまいましたが、
今回で、飾り金具の修理行程を全て終えることができました。
着色以外の表面処理については、またの機会を作ってお話したいと思います。

さて、目釘金具の修理は次回をもって終了です!!
今回で終わりっ!といきたいところですが、まとめとして次回は
ジュエリー制作で必須である、構造と機能について少しお話します。

あともう少しおつきあいくださいね~。
ではまた

織田

2016-05-05 | Posted in 創作メモComments Closed