目釘金具の修理 2 - ロウ付け -

 

春の匂いがしてきましたね。

季節を意識したとき、好きだなと思うのは やっぱり春。 芽吹く春をおもいながら、夏にはじけてみたり 冬は静かな時間を楽しんだりすることが好みです。

間がだいぶんあいてしまいましたが、刀装具の修理2回目です^^

前回は、実際に作業に入る前に必要になることとして 1金具の機能を確認し、状態を把握。(そのための情報収集を行う) 2先々起こりうるトラブルをシュミレーションして、必要物を準備する

主にこの2点についてお話ししましが、今回は金具修理の具体的作業、 金属の接合について、詳しくお話しようと思います。

修理するとは、元ある形、機能にもどす・・

ということですので、金具の破損により分断した2パーツを 元に戻して一体化させる。つまりくっつけるという接合作業を行います。

私たちの身の回りには、接合されたものでいっぱい溢れいますよね^^ 接着剤で止まったもの、ボルトやナット、釘なんかで止まったもの、 観察してみると、いろんな接合方法を見つけることができます。

前回少しふれた、ジュエリーメイキングのロウ付け作業も 溶接という接合法の一つ。

金属は火をかけ熱すると溶けるという特性がありますので その原理を利用することで、2つの金属の隙間に 材質の違う金属を溶かしいれ、接合することが可能です。

それでは、さっそく ロウ付けしてみましょう!!

とノリノリでいきたいところなんですが、 ロウ付けを成功させるためには、実はちょっとしたコツが必要です。

接着面がぴったり合ってなかったり、 動いてズレてしまう状況では、ロウ付けを成功させることはできません。

簡単にくっつくものもありますが、実際は 様々な形状のもの同士を接合させることが多いのですね。

うまくやるポイントとしては、作業しやすい状態を作ること。 接着面がズレることなく、しっかりと固定させる工夫を その時々に合わせて選択していくことが大切です。

固定法はさまざまなタイプがありますが 工夫を重ねていくことで、成功率もあがってくると思います。

こちらの金具のロウ付けも、少しひと癖がありまして・・

1動きやすい底の丸い皿状板の上に、倒れ易いパイプを固定する。 2金具の構造上、パイプはズレの許されないジャストの位置に 少し傾斜させて固定する。

細かく気をつけなくてはならないことは他にもいくつかありますが 上記のような逃げきれない問題は、ほおっておけないですね。

解決策ですが、①図をみてみましょう。 底の丸い皿状のシルバーパーツにリング(輪っか)がのっていますが、 これは位置ズレ防止と、パイプ固定のためのゲージです。

ゲージ制作することで、作業しやすい状態を作り、 適切な位置にロウ付けすることが可能になります。 また接着面が増えることで金具の強度が上がるメリットもありますね。

あと、丸い底板は動き、作業がしにくいため対策します。 からあげ線という専用の細い針金で、台座にしっかり固定します。 ただ巻いたただけですが、ロウ付けがしやすくなっています。(③図)

少し長くなってきましたね^^

今回は、ロウ付け作業をし易くする固定法について紹介しましたが 他にも成功させるポイントととして重要なことがあります。 それは、

いかに火を自由にあやつれるか・・ということですね。

なんだか、かっこいい響きですが 火を適切に伝導させるテクニックがあれば、怖いもの無しです。

火で熱したパーツに一体何が起こっているのか・・ ということが、経験をとおして自然に理解できるようになった時 きっと自由自在に様々なパーツをくっつけていると思います。

どのような条件化におかれても、美しく そして役目をしかっり果たした接合状態を作り出す・・ そのような技術習得に至るには、少し時間と訓練がいりますね。

学生さんにはいつも、怖がらないでどんどんくっつけていく。 状況の違ういろんなタイプを組み合わせて、新しいロウ付けを 体験していくのが近道、と話しています^^

最後なりましたが、接合の作業は難しさこそありますが とっても心がときめくお仕事なんですよ〜^^ 数多くのミラクルを生みますので、多くの人に体験していただきたいです。

とっても長くなりましたので続きは次回に。

3回で終わらなさそうな気配がしてまいりました(笑)

次回は表面処理について少しお話しますね。 ではまた・・・

織田

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