お預かりした刀装具、飾り金具の修理の過程を
3回に分けてご紹介します。
自身の制作過程の途中でもおこることですが
修理品など、何かアクシデントにあって、壊れたり傷ついてしまった場合は
その事故にあった場所を元の状態に戻す技術や知識が必要になります。
といっても事故 (笑) に出会うには、その原因となる種があってこそ・・
現場まで戻っていき、情報収集し原因をつきとめ処置を施します。
そしてめんどうでも、再び完成までの工程をやりなおしします。
大切なことは情報をとっていかに状況把握できるか!!ということなのですが
今回は状況把握を含めた内容のレポートです^^
今回破損した金具は刀身と柄を固定する釘のようなもので
オスとメスの2パーツからできています。
この小さな飾り金具が鉄のかたまりを支えているかと思うと
驚きをかくせませんが、どれほど実用されたかは不明ですが
かなりの力がかかっても大丈夫な作り。
おそらく手入れなどでも幾度かはずされて、接合部が摩耗、
飾りとパイプ部がもげてしまったようです。
写真では少しわかりにくいですが、メスのパイプは真ん中が凹んでおり
丸線を2つに割ったオスを差し込むと中で開く仕組みになっています。
メスのパイプは力がかかって変形!
パイプはいい塩梅の厚みで、現代の規定のものは使えないので
新しいものをつけかえることはあきらめ、変形を直すことに・・
このあとは分断された金属パーツを一体化させる
(接合する)ロウ付けという工程です。
金属同士をくっつけるには火を使います。
金属細工師にとっては火をいかに自由に扱えるか!
ということですが、このあたりはまた違う機会にお話します ^^
火を使った接合はいくつか方法がありますが
今回はロウ付けという、ベース金属とは材質の違う
少し早く溶けるロウと呼ばれる金属を間に流して接合します。
写真は当時使われたロウがどのようなものかわからないので
金具のロウの一部をハサミで切り落として火で熱し、
溶ける金属温度で材質をチェックしているところです。
使われていたものは銀ロウ。
5分の銀ロウを使いくっつけることに ・・・
作業レポートというものをはじめて書きましたが
ヒートアップして若干疲れましたので
この辺でやめておきます(笑)
次回はロウ付けの他に、表面処理について書こうと思います。
金属同士をうまくくっつけるには
ものにあわせて、さまざまな工夫が必要になります。
この金具さんは、機能もあって少し逃げられないタイプですね。
柄の形状がゆるいテーパー(ハの字)なので
底板とパイプを少し斜めにくっつけなくてはなりません。
ではまた^^
織田
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